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愛知県豊橋竹内産婦人科医院への家宅捜索に関する 日本産婦人科医会東海ブロック会の見解
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| 愛知県豊橋竹内産婦人科医院への家宅捜索に関する 日本産婦人科医会東海ブロック会の見解 |
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横浜堀病院に続き愛知県豊橋市竹内産婦人科医院においても警察権力が行使され、保健師助産師看護師法(保助看法)違反容疑により警察官30名にも及ぶ家宅捜索が行われたことに、大変な衝撃を覚え遺憾の意を表明するものである。 産科要員の減少をはじめとする過酷な産科医療の現場を無視したこのような警察権力の介入は、産科医療の崩壊に一層の拍車をかけるだけであり、その結果、分娩取り扱い施設は益々減少し、分娩難民が出現するなどの重大な混乱が待ち受けていることを考えなければならない。 医師法17条には「医師でなければ、医業をしてはならない」と定められており、医療機関で行われる助産は紛れもなく医業そのものである。保助看法第3条では、「助産師」とは厚生労働大臣の免許を受けて、助産又は妊婦、じょく婦若しくは新生児の保健指導をなすことを業とする女子をいい、同30条では助産師でなければ、第3条に規定する業をしてはならない、但し医師法の規定に基づいてなす場合は、この限りではないとされている。保助看法5条、6条では、看護師、及び准看護師は、「診療の補助」を行うことが認められている。 したがって、助産師には保助看法第3条、第30条により医業の一部である助産行為を行うことの業務独占が与えられているが、医療機関で行われる助産に関しては、看護師及び准看護師が、医師の指示のもとで診療の補助行為として医師の指示の範囲内で子宮口開大の計測等の補助行為(注)を行うことは可能であると解釈することができる。 保助看法には助産についての定義はなく、また内診の文字すら見当たらないなか、昭和23年に制定されて以来、50年以上の長きにわたり厚生労働省は看護師及び准看護師による内診を診療の補助行為として認め、あるいは黙認し、何事もなくこの法律の下に粛々と産科医療がとり行われてきたという経過がある。その間、大多数の分娩は、自宅分娩から施設分娩に移行し、分娩を担当する医療従事者も産婆(助産師)から医師(産科医)に移行している。 現代における産科医療においては、医師、助産師、看護師、及び准看護師の相互の協力体制が必要不可欠である。現在、産科要員(医師、助産師、看護師、准看護師)の弛まざる努力と超音波診断装置や分娩監視装置をはじめとする種々の機器や検査の導入により、日本では世界一の周産期医療が提供されるまでになっている。 この観点から、半世紀以上も前に作られた保助看法には時代にそぐわない点が多く包含されている。保助看法37条では、助産師は、医師の指示があった場合を除くほか、診療機器を使用してはならないとされているが、現在多くの助産院では、分娩監視装置や超音波ドップラーが使用されているのが、保助看法を形式的に適用するのであれば、これらはすべて保助看法違反で問責されることになる。保助看法の解釈においても不備や矛盾が多く指摘されるに至っており、法改正されるまでは現実に即した解釈がなされるように強く要望するものである。 今回の家宅捜索の根拠となった医政局看護課長通知は、当時の厚生労働大臣の決裁がないまま看護課長一個人の法解釈で発せられたものである。しかも産婦人科専門集団である医師会、産婦人科学会、医会には何らの事前協議も行われていない。看護課長通知が発せられた後になって、「医療安全の確保に向けた保健師助産師看護師法等のあり方に関する検討会」において議案とされ、その「まとめ」においても、両論併記とされるなど、看護課長通知の解釈が多数の支持を得ている訳ではない。 看護課長通知は、保助看法3条の一つの解釈論を示したものにすぎないものであり、日本産婦人科医会は、分娩汪において、医師の指示のもとで看護師、及び准看護師が診療の補助として行う子宮口開大の計測は、保助看法3条に違反しないという解釈論を主張してきた。 看護師、及び准看護師による子宮口開大の計測の評価については、複数の解釈論が対立している(「医療安全の確保に向けた保健師助産師看護師法等のあり方に関する検討会」のまとめで、両論併記されていることはこれを裏付ける)状況で、看護課長の解釈のみに依拠して、一方的な警察権力の介入を行うことは、まったく不当なものと言わざるを得ない。 産科医の減少とともに、看護課長の解釈にのみ依拠して、医療機関に対する捜索差押等の警察権力の介入を行うことは、産科医療の現状を省みることのない不当な対応であり、産科医療に対する抑止効果は大きい。このような事態が続けば、産科医療の崩壊は一層加速し、多くの診療所・私的病院での分娩は困難となり、とくに地方においては半数以上の分娩が立ち行かなくなることは明白である。この国の国是とする少子化対策とは真っ向から反するものである。 看護師、及び准看護師による子宮口開大の計測問題については、「医療安全の確保に向けた保健師助産師看護師法等のあり方に関する検討会」等において議論を尽くし、民意を反映した結論を導くことが必要である。未だ検討中で解釈が分かれている状況において、看護課長通知の解釈のみに依拠して行った警察権力の介入は、不当に世論を誘導しようとするものであり、到底容認することはできない。 以上より、日本産婦人科医会東海ブロック会は、「分娩医療機関が激減し、助産師の絶対数が極端に不足、偏在している状況を十分考慮し、看護師の内診問題だけで警察の医療機関への家宅捜索などが二度と起きないよう、国民とともに安全なお産を守るために、断固抗議をするものである」とする愛知県産婦人科医会の見解を全面的に支持する。 平成18年11月6日 三重県支部長 二井 栄 岐阜県支部長 井箟重彦 日本産婦人科医会東海ブロック会長 愛知県支部長 成田 收 (注)は「介助」から「子宮口開大の計測等の補助行為」に文章を訂正いたしました。2006/11/9 |
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